本物の海賊として言い訳をなくし立ち上がるウソップ
アーロン一味との戦いが始まり、ゾロ、サンジ、ウソップがそれぞれ幹部を一人ずつ受け持つ形になりました。
ずっと逃げてきたウソップは、ケチャップ星を使って血に見せかけ死んだふりをします。
相手はそのまま立ち去っていき、作戦は成功。
ルフィやゾロと違ってウソップは超人的な力を持ちません。
魚人との戦いは、村人達と同じように無謀な戦いなのです。
お遠ざかる魚人の後ろで、「それなりに戦った自分」を演出しようと考えます。
「………そうだ体中ドロまみれで登場すりゃあそれらしく見えるかもな…!」
「戻ったら…何て言おうか」
「いやー敗けちまったぜ すまん…か…?」
「いやーあの野郎 今一歩で取り逃しちまった」
「いやー ナミ泣くなよ おれ達は当然の戦いをしたまでだ」
言いながらも、仲間たちの言葉が頭をよぎります。
(おれ達もう仲間だろ)
(死んだ方がマシだ)
「いやーお互いよく戦ったなァ」
(レディを傷つけるようなクソ一味よりは百倍いいか………!!)
「いやーまさに死闘だったぜ」
(私の仕事のためよ こうするしかなかったの)
「………!!」
「いやー俺の傷はたいしたことねェよ」
(お待ちしてやしたぜアニキ達!!!)
(どれほど辛い選択だったかわかる?)
「いやーおれの戦いっぷりときたら…」
そんなことばかり考えてしまう自分のことを悔しがるように、体を震わせ奮起します。
(みっともねぇ!!!!)
そして涙を拭き立ち上がり、叫びます。
「ちょっと待てサカナ野郎ォ!!!!」
その声を聞き戻ってくる魚人。
恐怖に体は震えますが、それでもウソップは立ち向かいます。
村から出て海賊になると決めたときから、平穏や安全など捨てたはずだと。
(毎日命はって生きてるから あいつらは本当に楽しそうに笑うんだ!!!)
(今ここで全力で戦わなかったおれにあいつらあと同じ船に乗る資格なんてあるはずねェ!!!)
(あいつらと本気で笑いあっていいはずがねェ!!!!)
しかしウソップ渾身の”火炎星”は全く効きません。
魚人の力で殴り飛ばされ、今度は本当に倒れてしまいます。
「…死んだフリでもしてりゃいいものを」
そう言われますが、ウソップは呟きます。
「もう…終わったんだ」
なんとか攻撃から逃れて林に隠れるウソップ。
しかし…
水がある魚人にとっては林もたいした障害にはなりません。
木に隠れながらも、強力な”水鉄砲”に狙われ続けます。
この窮地にウソップは自分に言い聞かせながら叫びます。
「くそォ!! くそォッ!! …………見てろよ!! 旧ウソップ海賊団!!!
カヤ!! おれは海に出て海賊になった!!!」
「おれは戦うぞ!!! いつかきっと…! ウソじゃねェ本物の”勇敢なる海の戦士”になるために!!!」
「もうのんびりと楽しいだけの…”海賊ごっこ”は!!! 終わったんだ!!!!」
そして本当に魚人の幹部を1人倒してしまうのでした。
普段から逃げ腰なウソップですが、海賊として本当の覚悟と行動を見せたシーンでした。
誰も見ていないけれど、だからこそ自分の決意が揺るぎないものと証明できたといえます。