すべてを一人で抱え込もうとするビビへの仲間としてのルフィの言葉
アラバスタに到着したルフィたち。
町ではエースに出会い、その後どうやって行動するか決定します。
目的地は”ユバ”。
反乱軍のリーダーがいる町で、ビビの幼馴染でもあるため説得することにしたのです。
暑い砂漠を越え、たどり着いたユバは砂嵐に見舞われていました。
「ユバの町が砂嵐に襲われてる!!!」
ユバに入った一行ですが、オアシスと聞いていた町はすっかり干上がっていました。
町では一人砂を掘り続ける男・トトがいました。
反乱軍の情報を聞こうとすると怒り狂い、ここにはもういないと伝えます。
「…あのバカ共なら…もうこの町にはいないぞ…!!!」
干上がった町ですが、これは先程の砂嵐でこうなったわけではないと言います。
もう3年も雨が降らず、乾ききってしまったと言うのです。
物資の補給もままならなくなり、拠点を『カトレア』の町に移したと。
カトレアは今まで通ってきた砂漠を戻った場所にあります。
ビビとの会話から、トトは彼女に声をかけます。
「生きてたんだな よかった………!! 私だよわからないか!? 無理もないな少しやせたから」
「トトおじさん……………………!?」
ビビが知っているトトの姿はもっとふくよかでしたが、すっかり痩せこけていてわからなかったのです。
トトは今でも国王を信じています。
ビビに止めてくれと願うのでした。
「頼むビビちゃん…あのバカどもを止めてくれ!!!!」
その日は町で休みますが、トトは砂を掘り続けます。
「「ユバはね…砂なんかには負けないよ…何度でも掘り返してみせる ここは私が国王様から預かった大切な土地なんだ!!」
そして翌日、掘り出した僅かな水をルフィたちにくれるのでした。
しかし出発した直後、ルフィは腰を下ろしてしまいます。
「やめた」
と言って。
それから理由を言います。
「おれはクロコダイルをぶっ飛ばしてェんだよ!!!」
さらに続けます。
「反乱してる奴らを止めたらよ…クロコダイルは止まるのか? その町へ着いてもおれ達は何もすることはねェ 海賊だからな いねェ方がいいくらいだ」
トトの前で見たビビの覚悟。
それを受けてルフィはビビに問いかけます。
「お前はこの戦いで誰も死ななきゃいいって思ってるんだ!! 国のやつらも おれ達みんな!!」
「甘いんじゃねェのか」
ビビは反発します。
「何がいけないの!? 人が死ななきゃいいと思って何が悪いの!!?」
「人は死ぬぞ」
その言葉にビビはルフィを叩きます。
そして思いをぶちまけます。
「やめてよ!!! そんな言い方するの!!! 今度言ったら許さないわ!!! 今それを止めようとしてるんじゃない!!!」
ルフィが殴り返します。
「じゃあ何でお前は命賭けてんだ!!!」
取っ組み合いをしながら口論になります。
「この国を見りゃ一番にやんなきゃいけねェことぐらいおれだってわかるぞ!!!」
「お前なんかの命一個で賭け足りるもんか!!!」
「じゃあ何を賭けたらいいのよ!!! 他に賭けられるものなんて私 何も…!!!」
「おれ達の命くらい一緒に賭けてみろ!!! 仲間だろうが!!!!」
一人で全てを背負うビビに、ルフィが伝えたかったのはこの言葉でした。
気丈にふるまうビビが、一番悔しくて涙を流したいこともわかっていて。
王女という立場を超えて、殴り合える対等な仲間としてその重さを仲間で分け合いたい、もっと頼れという思いが込められているのでした。